「福音の再発見」徳善義和氏

「『わたし』への神の義(プレゼント)」マルチン・ルターの生涯と信仰(徳善義和氏)

「福音の再発見」 より
マルチン・ルターの生涯と信仰
徳善義和氏
(ルーテル学院大学名誉教授)

昇志向の修道生活、挫折と葛藤

「私はいかにして恵みの神を獲得するのか。」この問いの中に、マルチン・ルターの生き方が全部集約されています。そして、これには二つ背景があるのです。

一つは彼の父親の生き方です。父親は、無一文で流れ着いたマンスフェルトで、節約に節約をし働きに働いて、ひとかどの町の名士になっていきました。しっかりした仕事をしたいという意志があり、それを成し遂げるだけの能力もあり、努力もする。息子にはもっと成功の階段を登りつめて欲しい、努力次第だ、人間やれば何とでもなるとも思ったでしょう。いわば、上昇志向、業績志向の生き方。ルターはそういう父親の生き方そのものの姿から、登りつめていく生き方というものを学んでいたと思います。