「きよしこの夜(讃美歌109番)」
われ、弱くともー私を導く讃美のうた
金田聖治(日本キリスト教会鎌倉栄光教会牧師)
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きよしこの夜 星は光り
救いの御子は 馬槽の中に
眠り給う いと安く
きよしこの夜 御告げ受けし
牧人たちは 御子の御前に
ぬかずきぬ かしこみて
きよしこの夜 御子の笑みに
恵みの御代の あしたの光
輝けり ほがらかに
(讃美歌一〇九番「きよしこの夜」)
古い王を葬り、新しい王を迎える
あまりによく知られたこの歌の歌詞は、2節がルカ福音書の羊飼いたちと赤ちゃんのこと、1節は「星は光り」と、マタイ福音書の星に導かれて博士たちが旅したことをほのめかしています。
遠い外国から出かけてきて、救い主を拝み、黄金、乳香、没薬を贈り物としてささげ、やがて自分の国へと帰っていったこの占星術の学者たち。彼らは「ユダヤ人の王としてお生まれになった方」と言いながら、その方がただユダヤ人のためだけの王様ではないことが、控えめな仕方で指し示されます。つまり、この赤ちゃんを拝んだグループの一つは外国人たちだった。
また、もう一つのグループはユダヤ人だけれど、片隅に置かれて心細く生活する貧しい羊飼いたちだった。この赤ちゃんからもたらされる恵みと祝福は、やがてもともとは神の民ではなかった外国人たちにも及び、また片隅に置かれて心細く生きる貧しい者たちにも及ぶということです。