「死者のための典礼」橋本周子氏(1/1)

「死者のための典礼」神からのメッセージーグレゴリオ聖歌・橋本周子氏

「神からのメッセージーグレゴリオ聖歌」
橋本周子氏(聖グレゴリオの家 宗教音楽研究所所長)

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主よ、陰府の道より私を解き放ってください。
なぜなら、あなたは堅固な門を砕き、陰府の国を訪れ、
闇の内に住む者たちに光を注ぎ、
暗闇に閉じ込められた彼らに
ご自分を示されるのです。そして
深い淵に閉じこもった彼らは叫びます。
来てください。
あなたは私たちの救い主。
闇の内に住む者たちの救い主。

 死者のための典礼が形作られたのは西暦900年頃。ミサの後、死者のための赦しの祈りがすむと、棺は教会から運び出されます。そして墓に着くまでの間中「イン・パラディズム(天国へ)」が歌われ、その間にたくさんの応答唱を歌います。その一つ、この「リベラ・メ(我を救い給え)」は大変慰めのある歌です。

古いイコンに、この歌の絵があります。深い暗闇に閉じ込められ苦しんでいるたくさんの霊と骸骨の真ん中に、イエス・キリストが堅い門を破って体が半分復活なさった形で描かれているのです。それを見たとき、私はイエス・キリストの十字架の意味が初めてわかったのです。彼は、暗闇のどん底の一番深くに入らなければならなかった霊を救うために、あの死を選ばれたのだと。
そして、墓地に着くまで死者からの言葉が歌われます。
「私の救い主が生きていることを信じます。終わりの日、私は土から復活することを信じます。私は自分の目で、私の体の中においでくださる生きているキリストを見ます。」

(文責・月刊誌編集部)