「Hush harbor」塩谷達也氏(1/2)

「Hush harbor」塩谷達也のSpirit of Gospel

「Hush harbor」
塩谷達也のSpirit of Gospel
塩谷達也氏(ゴスペルシンガー)

「ゴスペル」というのは、17世紀の奴隷貿易に始まる黒人奴隷らの歴史の中で、彼らが神様に頼り、信頼し、目の前は厳しい現実に囲まれていた中で、自由と解放を願いながら生み出されてきた信仰の歌です。

アフリカ大陸から北アメリカに連れて来られた黒人奴隷たちの多くが南部州のプランテーション(綿花畑)で働かされていました。その労働の間にも黒人たちは次々と亡くなり、仲間の葬式で連れて行かされた教会などで彼らが歌を歌い始めます。名も無き歌でしたが、それが「スピリチュアル(黒人霊歌)」のルーツとなります。

1730年代にキリスト教大衆化運動が起こり、キリストを信じる黒人たちが大勢増え、多くの黒人霊歌が18世紀半ばから後半にかけて歌われたと言われています。彼らは自分たちを使っている奴隷主に教会に連れて行かされ、そこで礼拝を経験したんですけれども、彼らが真の意味で魂の解放を得たのは、一日の苦役を終えた後、夜遅くに仲間と秘密に集まる場所があり、そこにおいてだったと言われています。

白人の家から離れた所に自分たちだけの礼拝を持って神に祈り、歌って踊った場所があった。それが「Hush harbor」と呼ばれました。Hushとは、「シー、静かに」という意味、harborは「港」、心安らぐ場という意味もあります。白人たちに見つかってはいけない、社会的には「見えない教会」でありました。大きな危険もありました。

それでも彼らは集まりました。もちろん楽器はありませんし、誰か歌を作り始めた者がリードし、コール・アンド・レスポンス、そのリーダーと皆が掛け合いで、時に一晩中、神に祈り、叫び、また踊りも使って神を讃美していたんです。