「貧しさと蔑みの中に喜びが」英隆一朗氏(1/2)

「貧しさと蔑みの中に喜びが」私たちの巡礼―イグナチオの生涯を道しるべに―・英 隆一朗氏

「貧しさと蔑みの中に喜びが」
私たちの巡礼―イグナチオの生涯を道しるべに―
英 隆一朗氏
(イエズス会司祭、日本殉教者修道院院長)

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イグナチオの生き方の中で特徴的な事は、人から蔑みや侮辱や辱めを受ける事が非常に多いということです。それがイエス・キリストに従って行く時に大切な事だという考えがイグナチオの中にあるからです。

彼がエルサレムに滞在していた時に、イエス様が昇天した場所であるオリーブ山に登って、イエス様の足跡を見たいと思って、密かにそこに行くんですね。しかし政情が不安定な時で、個人行動は許されないんです。伝えるところによると、こうあります。

「(修道院の管理者は)非常に憤慨して、手に持っていた大きな杖で今にもイグナチオを打とうとする様子だった。そして彼の腕を乱暴につかまえ、彼はその男の連れて行くままに身を任せた。そうして歩いていく間、キリストが彼の上をいつも見守っているのが見え、我らの主から大きな慰めを受けた。」

規則破りをしたので、無理矢理引きずられて連れて行かれた。その時に、むしろキリストに出会ったというのです。この他にも、様々な形で蔑みや侮辱や不名誉を彼は経験するんですね。
彼は元々騎士なんです。一番大事な事は名誉を守るという事。イグナチオはそれをまったくひっくり返した生き方をした。

『霊操』の本の中に、サタンがどういう方法で人間を神の国から離していくかということが書いてあります。

「まず第一に、富の欲望をそそるようにすすめ、第二は名誉、第三は高慢、この三つの段階からあらゆる悪徳に人を誘い入れるのである。」

つまり名誉を守るというのはサタンの手段だというのです