「福音を分かち合い、まことの絆に生きる―テゼ共同体に学ぶ―」植松功氏・江藤直純氏・吉川直美氏(2/5)

沈黙のり―神の前に自分を差し出す

P1040836江藤 十年ほど前に私はフランスのテゼに行きまして、一日三回の祈り、午前中の聖書の学び、午後の静かな時間、日曜日の礼拝を経験してみて気づいたのが、朝昼晩の祈りの時間に説教がないんです。

祈りは、こちらが語る事以上に聴く事で、黙して心を開いて、神様の声を聴かせていただくということの方が、神様にあれこれお願いすることより何倍も大切なのではないかと気がついたのです。

神様の前に黙して聴く、それがあるからこそ、讃美もするし諸々の祈りもする。そのことは、今の私たちの社会全体でも、教会の中でも欠けているのではないかと思ったんです。

植松 テゼを訪れる人たちにとって、沈黙の時間というのは、最初は戸惑うと思うんです。でも、実は沈黙というのはとても豊かなもので、一番シンプルな、神様の前に自分を差し出す祈り、それに皆だんだん馴染んでいき、そこから何かを汲み取っていくと思うんです。そして、テゼの歌はほとんどが聖書の言葉や初代教父の言葉で、神の御言葉そのものをただ繰り返す。言葉そのものに力がある…それが私がテゼから学んだ大きなものです。