「福音を分かち合い、まことの絆に生きる―テゼ共同体に学ぶ―」植松功氏・江藤直純氏・吉川直美氏(1/5)

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FEBC日本語放送開始60周年記念番組
この国で、主イエスの福音を分かち合う—礼拝共同体の絆を見つめて—
「第五回 福音を分かち合い、まことの絆に生きる―テゼ共同体に学ぶ―」
植松功氏
(黙想と祈りの集い準備会世話役)
江藤直純氏(日本ルーテル神学校校長、日本福音ルーテル教会牧師)
吉川直美氏(シオンの群教会牧師)


今日、様々な意味で注目されている「テゼ共同体」。深い祈りと霊性、苦悩する人々との連帯というその独自の働きについて学びつつ、現代の教会に「テゼ共同体」が投げかける課題を聴いてまいります。聞き手は長倉崇宣。


内なる祈りと苦悩する人々との

—「テゼ共同体」とは、どのようなものなのでしょうか。

植松 「テゼ」とは、フランスにある小さな村の名前で、そこで始まった男子修道会のことです。創立者はブラザー・ロジェ。一つの大きな特徴は、エキュメニカルな、教派を超えた修道会であるということです。そして「内なる祈りと、苦悩する人々との連帯」を目指して、ブラザー(修道士)たちを修道会の外の苦悩する人たちの所に派遣し、そこに小さなコミュニティーを作りました。

ブラザー・ロジェは、苦悩する人々を自分の生活に招き入れる事が、自分の内なる祈りの生活と不可分なのだということを直視していたと思うんです。ブラザーたちがテゼに住み出して間もなく、ナチから逃れて来たユダヤ人の難民を迎え入れ、後には戦争孤児を迎え入れ、テゼの外にいる苦悩する人たちの所へブラザー達を派遣し、そのような伝統は今でも続いています。

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よくコミニオン(交わり)という言葉が使われますが、親密な交わりの二つの側面の一つが、内なる祈りを通して模索する神との交わり、それと同時に人々との交わり。

神に近づけば近づくほど、実は人々に近づいていく。人々に近づいていけば行くほど、そこで神に近づくのだという、初代教父たちの言葉をブラザー・ロジェはよく引用していました。

江藤 イエス様が教えられた最も大切な掟は、神様を愛することと隣人を愛することですから、自分が神様を愛し、祈り、交わりを持つことと、困難の中にある隣人に仕えていくということが、別々である方がおかしいんですね。