「起き上がりなさい」小島誠志氏(3/4)

現実に縛られていた人間が その現実を歩き始めた

そして彼の訴えを聴いた後、イエスは言われます。

「『起き上がりなさい。床を担いで歩きなさい。』すると、その人はすぐに良くなって、床を担いで歩きだした。」(8節)

「起き上がりなさい」という言葉。これは、いつまでもそんな泣き言を言わないで起き上がりなさい、君はやれば出来るのだから立ち上がりなさ1412_susv141214_03い、そう言われたのではないんです。「私がここにいるから、君と一緒に歩くから。だから君は立ち上がる事が出来るよ。床をかついで立ち上がりなさい」そう言われたのです。

この「床」とはベッドのことです。彼の現実そのものでした。彼はベッドに縛りつけられて生きてきたんです。そして「なんて人間世界はひどいんだ。」そんなふうにしか現実を見れませんでした。

しかし、イエス・キリストは言われます。「君は立ち上がることができる。生きる事が出来るんだよ。君が生きる為に私はここに来ている。」それは復活のキリストです。

ベッドに縛られていた人が、そのベッドを担いで歩いたと書いてあります。現実に縛られていた人間が、その現実を歩き始めた。厳しい現実を眺めて、どんなに的確な批判をしていても、彼はそうやって現実に負けていたんです。自分を生きられなくなっていた。その現実を彼は自分の足で歩き始めました。